2011年 04月 10日
「東京物語」 小津安二郎監督
「東京物語」
家族、がテーマの日本映画ということで、山田洋次監督が選んだ作品、トップバッターに相応しい名作です。
沁みる・・・心にじんわり沁みます。
「こうだ」と強く語るわけではないのに、このリアルさ。
あくまで静かな画面、ああ、そこに海がある、船がある、甍がある、人が生活している。
家族がいる、子供が、親がいる。年寄りも赤ちゃんもいる。
ずっと私たちはそういう関係のなかで、営々と生きて死んで、繰り返してきたのですね。
製作は昭和28年だそうです。
もっと昔かと思っていました。
でも、戦争未亡人が居るわけですから(原節子、ね)そういう時代か・・・。
原節子の発するセリフも、やっぱり年齢を経ないと解らない。
死んだ人を思う日々が少なくなっていく、その告白に義理の父が答えます。
「ええんじゃよ、忘れて」
それは、人が繰り返してきたことだから。
誰もが経験していくことだから。
家族であっても、家族であった過去が消え去っても。
時をおいてまた見たいですね。名作は何度見ても新たな感慨が生まれます。