2007年 12月 01日
「五郎治殿御始末」 浅田次郎
浅田次郎さんの時代小説、どれを読んでも面白いですが、この短編集とってもいいです。
幕末から維新後の狭間を生きた、身近な、それこそ私達の3世代前のおじいさん・おばあさんの物語です。
浅田さんは、泣かせる名人だと思いますが、そりゃなまじっかな腕前ではそんな事は出来ませんもの。
この本に収められている短編、すべて好きですが一番私がいいなあと思ったのは冒頭の一編、
「椿寺まで」。
維新で刀を捨てて商人になった徳川の遺臣、小兵衛。旧友の息子、新太を連れた旅で訪れるのは「椿寺」。
新太は”世が世なれば”若様と呼ばれる身分であり、そうと悟った事を気付かせずに母に再会する・・・。
その旅の短時日の出来事を語るだけで、鮮やかに登場人物たちの過去やかかわり、愛情の深さを描き出しています。
浅田さん、つくづくたいしたもんだ!
こういうの短編シリーズでドラマ化するといいですよねえ。
「椿」つながりで今日は「椿三十郎」を見に行こうかな。
黒澤映画好きなので・・・ちょっと興味あります。トヨエツの室戸は良さそうだし。